所長代理
さて 日本の著作権法をもう少し具体的に見ていく前に
最近改正案がEU議会で可決された
EU著作権指令について少々話をしましょうか
GDPR以外にも何か重要な改正がありそうなのですか?
ロック
所長代理
どうもそのようです
EUはわりと規制が厳しく影響力のある規制を発信してきます
ISOを見るとよく解ると思います
なので問題が波及しそうな感はあります
そうなのですか
ではぜひその話を聞かせてください
ロック
所長代理
2018年9月12日にEU著作権指令の改正案が可決されました
まだこれから国内法がどのようになるかわかりませんので
最終的にどのように運用されるかはまだわかりませんが
運用に向けて前進しました
この間のGDPRは国内法の適用とか
そういうことを言っていなかったように思いますが・・・
ロック
所長代理
そうですね
著作権法は個々の国にも以前から存在しているからかもしれません
EUって結構面倒くさいんですね
それでどの辺が改正されたのですか?
ロック
所長代理
今回の改正の主な項目は4つです
1.データマイニング等に関する著作権の例外(第3条)
2.教育機関が著作権のある著作物を非商用で使用できる(第4条)
3.コンテンツのスニペット(ホームページの情報の一部を 検索結果に表示させる方法)を表示するサイトに対し、出版元へ著作権料を支払うようにすること(第11条)
4.プラットフォームにアップされた著作物が違法なものだった場合、プラットフォーム運営側が削除する責任を負うこと(第13条)
これだけでは私にはちょっと・・・
2.は日本の著作権にもあるのでわかりますが
ロック
所長代理
1.はデータマイニングの際のデータ使用が
著作権法違反の例外になるかという話です
もしかしたらディープラーニングを含むのかもしれませんね
日本でもディープラーニングは法改正がありましたしね
ロック
所長代理
EUは例外が研究機関のみに限定されるらしいので
それが正しければディープラーニングに関しては
著作権法違反にならない日本とは違うことになります
妥当なような気もしますし
学術の特権のような気もしますし・・・
ロック
所長代理
そうですね
4.はISP法などで議論になったので
解らないことはないでしょう?
今回の場合プラットフォーム側がフィルターをかけなさいという話です
はい そういうことでしたら
ロック
所長代理
facebookやtwitterに他人の著作物を載せてばらまいたり
ヘイトスピーチやフェイクニュースが掲載されたり
社会的混乱を巻き起こしていますからね
そういうのが反映されたものと思います
EUのアメリカテック企業に対する攻撃は最近凄いですよね
それにしても大手は手が回るかもしれませんが
中小は厳しいですね
ロック
所長代理
規模やコンテンツ量
対応策の有効性も見られるようです
しかし中小もかなり大変でしょうね
なるほど ここまでは大丈夫そうです
でも3.はどういうものなのでしょうか
そもそもスニペットというのがよくわかりません
ロック
所長代理
スニペットは情報の断片というか概要ですね
よくニュースコンテンツが他所の記事を載せているでしょう?
facebookやtwitterだけでなくスマートニュースやグノシーみたいな
ニュースの概要をまとめているサイト
あれが対象です
電車の中でも読んでいる人をよく見かけます
確かにあれでは出版社にメリットがなくなってしまいます
ロック
所長代理
だからコンテンツ作成者(出版社)にお金を払いなさいというものです
リンク税と呼ばれているようです
ニュースコンテンツのサイトやアプリは
他人の褌で相撲をとっているといわれても仕方がないですからね
そのような会社はビジネスモデルを一から考え直さないといけませんね
ロック
所長代理
そうですね
とはいえこちらもfacebookやtwitterのようなサイトを
まとめて狙い撃ちにした感じがします
出版業界の強い欧州ならではと見ることもできると思います
また政治の臭いがしてきましたね
出版業界でニュースコンテンツサイトを作ればいいのかもしれませんが
その辺は下手ですよね
ロック
所長代理
それも問題の一つですね
出版業界ももう少し知恵を出さないと
法令で縛っても社会からはじかれそうです
そうならないよう頑張ってほしいですね
ロック
所長代理
本改正については以上ですが
日本でも3.と4.はこれから問題になるかもしれませんね
そうでなくても情報サイトは海外からも見られるので
このようなサイトやアプリを扱っている企業は
対応しないと危険でしょう
こうやって聞いていると
非常に厳しい改正だという感じがします
世間の反応はどうなのでしょうか?
ロック
所長代理
かなり反対意見も出ているようです
中にはインターネットが死ぬという方もいるようですね
大々的に反対キャンペーンを展開しているサイトも散見されます
やはりそうですか
でも社会的に必要なものも多そうですね
ロック
所長代理
そうですね
ですからこれの波及も想定して
日本も対応しておいた方が良いと思います
特に4.は日本でも対応を迫られる可能性が高いとみています
そうすると規約の見直しですね
クライアントにも提案してみます
ロック
所長代理
はい
そのようにしてください