ロックは休憩中のようだ。
水を飲みながらノートを見ている。
所長代理
クリスマスイブなのに今日も勉強ですか?
代理がロックに話しかける。
はい 色々勉強しておきたいことがあるので
ロック
所長代理
それは感心ですね
でもきちんとメリハリはつけてくださいね
ありがとうございます
ロック
所長代理
それで何を読んでいるんですか?
この間仲間内で背任と横領が話題になったのですが
どこが違うかわからなかったのでノートを見直していました
ロック
所長代理
あぁなるほど
確かに似ていますもんね
そこはきちんと覚えておくといいですよ
よく会社でも聞きますからぜひそのようにしたいと思います
経理が業務上横領をして帳簿に穴をあけたとか
社長が背任罪でとか聞いたことがあります
でもどこが違うのやらさっぱりです
ロック
所長代理
では条文にあたってみましょうか
まずは横領からいきましょうか
刑法ですね
(横領)
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
2 自己の物であっても、公務所から保管を命ぜられた場合において、これを横領した者も、前項と同様とする。
(業務上横領)
第二百五十三条 業務上自己の占有する他人の物を横領した者は、十年以下の懲役に処する。
(遺失物等横領)
第二百五十四条 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領した者は、一年以下の懲役又は十万円以下の罰金若しくは科料に処する。
他人の物を自分が占有していて
それを自分のものにしてしまうのが横領なのですね
ロック
所長代理
そうです
刑法でも横領罪という章があるくらい大きな項目です
メジャーな犯罪なのですね
それと横領には3パターンあるのですね
一つだけかと思っていました
ロック
所長代理
はい 状況によって罪の重さが違いますので
バリエーションがあるのです
先の会社の経理がというのは第253条の業務上横領に該当しますね
業務上だから罪が少し重いのですね
責任があるから当然といえば当然ですが
ロック
所長代理
はい
では次に背任を見てみましょうか
こちらも刑法です
(背任)
第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
あれ? 第三者の利益を図るという文言がある・・・
ここですか 違いは
ロック
所長代理
そう そこが重要です
それと本人に損害を加える目的というのもあります
つまり自分の利益のためではなく
本人に損害を与える目的でも罪が成立するのです
なるほど
私は権限がある人だからか背任で
そうでない人がやるから横領なのだと思っていました
ロック
所長代理
それは会社法の特別背任罪があるから
そう思ったのかもしれませんね
(取締役等の特別背任罪)
第九百六十条 次に掲げる者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたときは、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 発起人
二 設立時取締役又は設立時監査役
三 取締役、会計参与、監査役又は執行役
四 民事保全法第五十六条に規定する仮処分命令により選任された取締役、監査役又は執行役の職務を代行する者
五 第三百四十六条第二項、第三百五十一条第二項又は第四百一条第三項(第四百三条第三項及び第四百二十条第三項において準用する場合を含む。)の規定により選任された一時取締役(監査等委員会設置会社にあっては、監査等委員である取締役又はそれ以外の取締役)、会計参与、監査役、代表取締役、委員(指名委員会、監査委員会又は報酬委員会の委員をいう。)、執行役又は代表執行役の職務を行うべき者
六 支配人
七 事業に関するある種類又は特定の事項の委任を受けた使用人
八 検査役
これだと役員が会社に何か損害を与えたらという感じですね
なるほど
だからそう思ったのかもしれません
ロック
所長代理
まぁ背任と横領の違いは諸説あるようですから
責任の所在の有無というのも間違いではないのかもしれませんけどね
あ そうなんですか
ロック
所長代理
えぇ
でもこの辺は我々の仕事とは直接関係はなさそうですが
やはりあの事件ですか?
はい
話題になったので試験に出るかなと思いまして
ロック
所長代理
そういうことでしたか
説明をいただいて大分わかりました
これで試験に出ても対応できそうです
ロック
所長代理
それは良かった
ではそろそろ休憩も終わりです
ラストスパートといきましょうか!
はい!
ロック