ロックの休憩時間中、代理がロックに声をかけた。
年末に話が途中だった対抗要件の話をしようと思ったようだ。
所長代理
ロック君
昨年話していた善意と悪意の話がまだ途中でしたよね
今大丈夫であればやりましょうか
ありがとうございます
他にも色々お訊きしたいことが多くて
忘れてしまっていました(笑)
ロック
所長代理
対抗要件の話をしていなかったですからね
あの時は知っていたようだったので
スルーしてしまいましたが
やはりしておいた方が良いですよね
そうなんです
わりとわかりにくいところなので
よろしくお願いします
ロック
所長代理
では対抗要件とは何かというところからいきましょうか
すでに当事者間で成立した法律関係を
当事者以外の者に対して主張するための法律要件ですよね
ロック
所長代理
そうです
第三者に主張(対抗)するための要件ということで
第三者対抗要件とも呼ばれていますね
はい
その方が一般的かもしれません
ロック
所長代理
ではその成立要件はどういうものでしょうか
先日の従業員だったら
顧客への引継ぎや通知などが挙げられると思いますが
例えば物の権利だった場合はどうでしょうか
不動産なら登記が
動産なら引渡しがそれにあたります
物ではありませんが
法人の役員の場合も登記になると思います
ロック
所長代理
そうですね
登記という制度はまさにそのためのものですね
民法だと177条と178条になるでしょうか
(不動産に関する物権の変動の対抗要件)
第百七十七条 不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
(動産に関する物権の譲渡の対抗要件)
第百七十八条 動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない。
登記はわかるとして
動産の引渡しは実際に引き渡さないこともありますよね?
ロック
所長代理
はい そういうこともあるので
現実の引渡し、簡易の引渡し、指図による占有移転、占有改定
という4つの方法が認められています
前の2つはともかく後の2つはちょっとわかりにくいのですが
どのようなものでしょうか
ロック
所長代理
183条と184条にあるのですが
代理人が物を占有している場合
所有権だけ別の人に代わるものを指図による占有移転と呼びます
Aさんの所有物をBさんが占有していて所有権だけCさんに移転
占有はBさんが続けているという形ですね
なるほど
では占有改定はどういうものでしょうか
ロック
所長代理
自分の所有物を所有権だけ別の人に移転して
自分が占有を続けているものです
Bさんのものを所有権だけAさんに移転して
Bさんが占有を続けるパターンですね
両方ともぱっと見わからないですね
ロック
所長代理
そこがこの2つのの問題点といわれています
一応条文も以下に示しておきますね
(占有改定)
第百八十三条 代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したときは、本人は、これによって占有権を取得する。
(指図による占有移転)
第百八十四条 代理人によって占有をする場合において、本人がその代理人に対して以後第三者のためにその物を占有することを命じ、その第三者がこれを承諾したときは、その第三者は、占有権を取得する。
ありがとうございます
条文だけだとやはりちょっとわかりにくいですね
ロック
所長代理
そうですね
他に立木などの場合は明認方法というものもあります
立木の皮を削って名前を入れるとかですね
そんなのもあるんですか
ロック
所長代理
色々ありますよ
債権譲渡や不動産賃貸借などはまた別にあります
うわー
そんなに一気には覚えられなさそうです
ロック
所長代理
ははっ そうですね(笑)
では今日はここまでにして
またいずれやりましょうか
ありがとうございます
ではまたよろしくお願いします
ロック