下請代金支払遅延等防止法、通称下請法と呼ばれる法律があります。
1956年6月1日施行となっていますので、実はかなり古い法律です。
しかし、現在でも問題になっていることの多い法律の一つです。
時々ご相談いただくこともありますし、話に聞くことも結構あります。
大手企業の子会社が相手のことが多い印象です。
下請法は、事業者の規模や提供物(役務)によって適用されるかどうかが決まります。
対象は以下の通りとなります。
(1) |
物品の製造委託・修理委託 |
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情報成果物作成委託・役務提供委託 |
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(プログラム作成、運送、物品の書庫における保管及び情報処理に係るもの) |
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親事業者 |
下請事業者 |
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資本金 |
3億円超 |
3億円以下 |
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1千万超3億以下 |
1千万円以下 |
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(2) |
情報成果物作成委託・役務提供委託 |
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(プログラム作成、運送、物品の書庫における保管及び情報処理に係るものを除く) |
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親事業者 |
下請事業者 |
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資本金 |
5千万円超 |
5千万円以下 |
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1千万超5千万以下 |
1千万円以下 |
資本金で親事業者になるかどうかが決まりますが、大手企業の子会社の場合、資本金が少なくても該当することがありますので注意が必要です。
書類上は問題なく見えるようにしてあることもあり、調査する場合は、取引先への聞き取り調査が必須です。
義務や禁止行為は以下の通りです。
義務 |
|
No. |
内容 |
1 |
3条書面の交付義務 |
2 |
5条書面作成・保管義務 |
3 |
下請代金の支払期日を定める義務 |
4 |
遅延利息の支払い義務 |
禁止行為 |
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No. |
内容 |
1 |
受領拒否 |
2 |
下請代金の支払い遅延 |
3 |
下請代金の減額 |
4 |
返品 |
5 |
買い叩き |
6 |
物の購入強制・役務の利用強制 |
7 |
報復措置 |
8 |
有償支給原材料等の対価の早期決済 |
9 |
割引困難な手形の交付 |
10 |
不当な経済上の利益の提供要請 |
11 |
不当な給付内容の変更・やり直し |
この中でも特にありがちなのは、下請代金の減額(特に消費税分)と支払い遅延です。
支払い遅延は、親事業者(元請)が故意に遅延する他にも違反することがあります。
それがいわゆる60日ルールで、物品の受領日(役務提供日)から60日以内に全額支払いをしなければならないというものです。
60日ルールに営業日という概念はないので、末締めの翌末払いでも、月によっては違反することがあり得ます。
年末年始のように長期休暇を挟むと、気が付いたら違反していたなどということが起こりかねません。
この法律に関する監督官庁は公正取引委員会になります。
この法律に関する事案は、公正取引委員会は非常に積極的かつ粘り強く動くそうです。
下請け事業者で親事業者から違反を受けた場合は、公正取引委員会にご相談いただくのが良いと思います
※2026年1月1日より改正法が施行されます。
それに伴い、「下請事業者」を「中小受託事業者」、「親事業者」を「委託事業者」等呼び名が変わるものがあります。