法務の中で、IPO(株式公開)の際に気を付けたいものとして多くの方が挙げるのは、残業手当や休日出勤手当等に関するものでしょう。
ここでは、休日出勤等も含めて、残業手当として話を進めていきます。
IPOの要件の一つに法令順守(コンプライアンス)というものがあり、残業手当はその重要項目の一つとしてチェックされます。
準備を進めていく際に、どこか早い段階で支払う必要があります。
しかも、現在の従業員だけでなくすでに退社した従業員の残業手当も支払わなければいけません。
その意味では、IPO準備企業は、より適切な対応が必要だと言えるでしょう。
残業手当に関する調査は非常に厳しく、PCのログや会社の電気の使用状況までチェックされると聞きます。
そのため、タイムカードを押してから残業をしたりさせたりするのも通用しません。
そのため、IPOを目指すのであれば、早いうちから整理しておく必要があります。
草創期は当たり前のやり方も、ある程度のところでそれを卒業する必要があるのです。
直前で未払い残業手当の支払いで利益が圧迫されて上場できませんでした、などとならないようにしたいものです。
ちなみに、残業手当は、1分単位で計算する必要があり、8時間を超える残業については、一定の割増賃金を支払う必要があります。
少し前に時効が2年から3年に伸長したので、支払額がより高額になる傾向があります。
IPO準備企業だけでなく、残業手当に頭を悩ませている会社は多く存在します。
例えば上司と折り合いが悪くなって従業員が退職する際、今まで未払いだった残業手当を要求されるという話はわりと聞く話です。
特に、出入りの激しい業界はその傾向があり、その支払いに四苦八苦する会社もあります。
雇用を始めるときからきちんと残業手当を支払うようにしたいものです。